結論から書きます。DIOR アディクトリップティントと YSL ルージュ ピュール クチュールは、同じデパコスのリップでも、ほぼ正反対の目的のために設計されています。「どちらが優れているか」を問うより「自分がどちらの目的に近いか」で選ぶのが正解です。
私の使い分けはこうです。ナチュラルメイクで口元だけ整えたい日は DIOR、リップを主役にして気分ごとメイクを切り替えたい日は YSL。2本を同じ週に使い比べて初めて、それぞれの役割がくっきりしました。
同価格帯で「どちらを先に買うか」で迷っている方に、実際に使った体感を共有します。
スペック比較表
| 項目 | DIOR アディクトリップティント | YSL ルージュ ピュール クチュール |
|---|---|---|
| タイプ | リキッド(液状フォーミュラ) | スティック |
| テクスチャー | チェリーオイル配合のとろけるオイル系 | クリーミー・なめらか |
| 仕上がり | シアーオイルツヤ・血色感ナチュラル | カバー力のあるヴィヴィッドレッド |
| 発色の強さ | シアー〜中(唇の地色が透ける) | 強(唇の色をカバー) |
| 落ちにくさ | 中(食事後に薄まるが上品) | 中(食事後に薄まり、むらが出やすい) |
| 保湿感 | 高(チェリーオイルが1日中保湿) | 中(クリーミーだが単体では乾燥しやすい唇にやや物足りない) |
| 向いているパーソナルカラー | ブルベ夏・ブルベ冬(#771) | ブルベ冬・イエベ秋(#87) |
| リップライナーの必要性 | ほぼ不要 | 輪郭をはっきり出したい場面では有効 |
| 向いているメイクシーン | ナチュラル・オフィス・マスクを外す日 | リップ主役・フォーマル・特別な日 |
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違いを5つの軸で解説
1. テクスチャー・質感の違い — オイルティントとクリーミースティック
2本を並べて唇に塗ってみると、塗り心地の差が最もはっきり出ます。
DIOR アディクトリップティントは、チェリーオイルを配合した液状フォーミュラです。アプリケーターで唇に乗せた瞬間、するんとオイルが広がって、そのまま定着します。「乗せている感覚」がほぼなく、気づいたら唇に色と艶が宿っている、という感じです。グロス系のベトつきとは違う、軽さのあるオイル感です。
YSL ルージュ ピュール クチュールは、スティック型のクリーミーな処方です。唇に直接当てて滑らせると、口紅らしいリッチな存在感で色が乗ります。「きちんとリップをつけた」という手応えがあり、ケースを開けてスティックを唇に当てる一連の動作が「メイクをしている」という気持ちを高めます。
どちらがいいか、というよりどちらの塗り心地が好きかで選んでいい場面です。リキッド系が苦手な方はスティックの YSL、オイルの質感を体感したい方は DIOR から入るのが向いています。
2. 発色・仕上がり — 血色感ナチュラルとヴィヴィッドレッドの差
これが2本の最大の違いです。
DIOR #771 ナチュラル ベリーは、唇の地色が透けてくるシアーな発色です。「このリップをつけた」というよりも、「唇がきれいに見える」という仕上がりに近いです。青みを帯びた淡いベリーカラーが、ブルベ夏・ブルベ冬の方の肌のくすみを飛ばし、ふわっとした血色感を演出します。私はイエベ寄りの肌ですが、シアーな発色のおかげで「完全に浮く」ことなく使えました。
YSL #87 レッドドミナンスは、唇の色がほぼ見えなくなるカバー力で、ヴィヴィッドな深みのある赤が乗ります。「リップをつけた」という事実が一目でわかる仕上がりです。アイメイクを抑えてこの1本を塗るだけで、顔の印象がガラッと変わります。
仕上がりの印象の差を言葉で表すと:
- DIOR = 「素の唇よりきれいな唇」
- YSL = 「赤いリップをつけている私」
目指しているゴールが全く違うので、比較するより「今日どちらの自分でいたいか」で選ぶのが最も自然です。
3. 持ちの良さ・落ち方 — どちらも食事には弱いが落ちた後が違う
正直に書きます。2本とも、食事1回でかなり薄まります。「デパコスだから落ちにくい」という期待に対して、どちらも「その期待を持つと裏切られる」レベルの持続感です。
ただし落ちた後の見え方に差があります。
DIOR は、食事後に薄まっても「うっすら血色感とオイルのツヤが残っている」状態です。「落ちた」というより「自然にトーンダウンした」という見え方で、塗り直しをしなくても口元がそこまで貧相に見えません。チェリーオイルが唇に残っているせいか、「ツヤだけは消えない」という感覚があります。
YSL は、発色が強い分、薄まったときのムラが目立ちやすいです。唇の中央から先に落ちて、外側に色が残るパターンが多く、「落ちた状態が目立ちやすい」のが正直なところです。塗り直しを前提に使うことが、YSL の発色の質を保つ方法です。
食事の多い日・外出先での塗り直しが難しい状況では DIOR の方が楽に使えます。ディナーの席など「最初の発色にこだわる場面」では YSL を選んで、塗り直しはバッグに入れて持ち歩く、という使い方が現実的です。
4. 使いやすさ・リップケアとの相性
DIOR はリキッドタイプのため、アプリケーター操作の慣れが最初は必要です。慣れると塗りやすいですが、使い始めの数日は「均一に塗れているか」を鏡で確認したくなります。保湿感が高いので、乾燥しやすい唇でも単体で使いやすく、リップバームを下地に仕込む必要を感じることは少なかったです。
YSL はスティック型のため、唇に当てて滑らせるだけで直感的に塗れます。ただし保湿面では DIOR に劣るため、乾燥しやすい唇の方が単体で使うと、夕方に縦ジワが目立ってくる場合があります。ベースにリップオイルかリップバームを薄く仕込んでから YSL を重ねる使い方が、保湿と発色を両立させる現実的な解決策です。
リップライナーとの相性で言えば、輪郭をくっきりさせたい場合は YSL の前にリップライナーを引くと仕上がりのクオリティが上がります。DIOR はシアー発色のため輪郭が自然にぼけるので、ライナーはほぼ不要です。
5. 価格帯・コスパ・デパコスとしての価値
2本とも同価格帯のデパコスリップです。いずれもプチプラ帯の複数本分に相当する投資になります。
その価格で何を買っているか、を明確にしておくと選びやすいです。
DIOR アディクトリップティントで払っている価値:
- チェリーオイルの保湿感の質
- 「薄まり方が上品」という体験
- 軽さと発色の両立
YSL ルージュ ピュール クチュールで払っている価値:
- ヴィヴィッドレッドの発色品質
- スティックの設計が生む口元の輪郭
- ゴールドケースの所有感と「使う気持ち」を高める体験
コスパという概念で語るなら、「落ちにくさ」だけを基準にするとドラコスのティント(rom&nd や kate リップモンスター)の方が明確に上回ります。デパコスの2本は「質感の差にお金を払っている」という判断が必要です。
どちらがおすすめか
DIOR アディクトリップティントがおすすめな方
- ナチュラルなメイクで「唇が自然にきれいに見える状態」を1日維持したい方
- リップで口元を盛るより、唇の保湿感と血色感を整えたい方
- マスクを外す場面が多い日常で、塗り直しを最小限にしたい方
- ブルベ夏・ブルベ冬で、淡いベリー〜ローズ系の発色が好みの方
- デパコスリップを初めて試す1本目として、ナチュラル方向から入りたい方
- リキッドリップの質感が気になっていて、一度試してみたい方
YSL ルージュ ピュール クチュールがおすすめな方
- リップを主役にしたメイクで、しっかり発色させたい方
- ヴィヴィッドレッドを一日の気分切り替えの道具として使いたい方
- ブルベ冬・イエベ秋で、深みのある赤が肌に乗ったときの映えを体験したい方
- スティック型の直感的な使いやすさが好きな方
- デパコスのケースの質感や所有感も込みで楽しみたい方
- 塗り直しをバッグに入れて持ち歩くことに抵抗がない方
私の使い分け実例
実際の1週間でどう使い分けたか、正直に書きます。
月曜日の朝、オフィスに向かう日は DIOR を選びます。会議が続いて「リップをしていることを忘れたい日」に最適です。チェリーオイルが唇に馴染んでいる状態で、マスクを外したときも「ちゃんとしている」口元をキープできます。
週末にランチや夕食の約束がある日は YSL を選びます。「今日はリップで気分を上げたい」という意図を持って出かけるときです。塗り直し用のスティックをポーチに入れて、食事のたびにトイレで直すことを前提にしています。
同じデパコス価格帯の2本ですが、使い分けのシーンがほぼ重なりません。「どちらかを選ぶ」より、両方持つことで日常のリップ選びが完成するという感覚が、使い比べた後にありました。
よくある質問
Q. どちらが落ちにくいですか?
A. 同程度の「落ちやすさ」です。どちらも食事1回でかなり薄まります。落ちた後の見え方に差があり、DIOR は血色感とオイルのツヤが残ってナチュラルに薄まります。YSL は発色が強い分、落ちたときのムラが目立ちやすいです。「落ちにくさ」を最優先するなら、kate リップモンスターや rom&nd ジューシーラスティングティントのようなドラコスのティント系の方が明確に上回ります。
Q. 乾燥しやすい唇にはどちらが向きますか?
A. DIOR アディクトリップティントです。チェリーオイル配合の処方が唇に1日うるおいを供給し、夕方になっても縦ジワが出にくい状態が続きます。YSL は単体で使うと乾燥しやすい唇には物足りない場合があります。YSL を選ぶ場合は、ベースにリップオイルかリップバームを仕込む使い方で補うことができます。個人差があります。
Q. ブルベ夏にはどちらが向きますか?
A. DIOR #771 ナチュラル ベリーがより向きます。青みを帯びた淡いベリーカラーは、ブルベ夏の肌のくすみを飛ばして透明感を引き出す色味です。YSL #87 レッドドミナンスも青みレッドではありますが、発色が強めのため、ナチュラルメイクに落ち着かせるにはアイメイクとのバランス調整が必要です。ブルベ夏でデイリー使いの血色感を求めるなら DIOR、特別な場面でインパクトのあるレッドを試したいなら YSL という選び分けが自然です。
Q. 敏感な唇・荒れやすい唇でも使えますか?
A. 2本とも化粧品です。医薬品ではありません。唇が荒れている・ただれている状態での使用は控えてください。唇の状態が落ち着いているときに使い、肌トラブルが気になる場合は皮膚科・形成外科に相談することをお勧めします。パッチテストを事前に行うことで、予期せぬトラブルのリスクを減らせます(全ての方にアレルギーが起きないわけではありません)。

