「飲むだけでUV対策ができるなら、塗る手間がなくなるのでは?」と気になっている方は多いと思います。
飲む日焼け止めは、フェルラ酸・ルテイン・アスタキサンチンといった成分を配合したサプリメントです。正確に言えば、化粧品または食品(サプリメント)に分類される製品であり、医薬品ではありません。この前提が、飲む日焼け止めを選ぶ際の出発点になります。
飲む日焼け止めとは何か
飲む日焼け止めと呼ばれる製品の多くは、紫外線による酸化ダメージへの対抗を期待されたサプリメントです。代表的な配合成分はフェルラ酸(ポリコサノール配合も多い)、ルテイン、アスタキサンチン、ヘリオケア(ポリポジウム・ロイコトモス抽出成分)などです。
メーカーはそれぞれ「紫外線ダメージからの保護をサポートする」という表現を使いますが、日本の薬機法上、化粧品やサプリメントは「日焼けを防ぐ」「シミを消す」といった医薬品的効能を標榜できません。製品の宣伝文句は「サポート」「期待」の言葉で留めているものがほとんどです。
日本皮膚科学会も、飲む日焼け止めを外用日焼け止めの代替として公式に推奨しているわけではありません。この前提を踏まえた上で、次の5点が主なデメリットとして挙げられます。
デメリット1: 医薬品ではなく、化粧品・サプリメントである
これが最も根本的な注意点です。
日本で市販されている飲む日焼け止め製品は、薬機法上の「医薬品」ではありません。したがって、国が定めた有効性・安全性の審査を通過した製品ではなく、「日焼けを防ぐ効果が認められた」という公的な保証もありません。
塗る日焼け止めは「化粧品」または「医薬部外品」として、SPF・PA値が規定の試験で測定・認証されています。しかし飲む日焼け止めにはSPF値に相当する公的な数値はなく、「どの程度防げるか」を客観的に示す指標がありません。
メーカーが示す「SPF相当○○」という数値は、あくまでメーカー独自の試験に基づくものです。第三者機関による統一基準での評価ではないため、他製品との比較は難しい状況です。
デメリット2: 効果の個人差が大きい
飲む日焼け止めに含まれるフェルラ酸やポリポジウム・ロイコトモスなどの成分は、体内での吸収率や代謝速度が人によって異なります。そのため、同じ製品を同じ量・同じ期間飲み続けても、体感できる効果には個人差があります。
「毎日飲んでいるのに日焼けが気になる」という感想がある一方で、「以前より肌が落ち着いた気がする」という感想もあります。どちらも誤りではなく、体質の違いが出やすいカテゴリーです。
また、体感的な変化(肌の赤みが出にくくなった、火照りが少ない)があったとしても、それが飲む日焼け止めの効果なのか、他のスキンケアや生活習慣の変化によるものかを切り分けることは難しいです。
効果を期待するなら、少なくとも1ヶ月以上の継続使用が必要とされており(次のデメリット5で後述)、短期間の使用では変化を実感しにくい側面があります。
デメリット3: 塗る日焼け止めの代替にはならない
これは最も重要な認識のズレです。
飲む日焼け止めは、塗る日焼け止めを省略するための製品ではありません。多くの皮膚科医や美容研究家が繰り返し指摘している点として、現時点のサプリメントで外用日焼け止めと同等のUVカット効果は期待できません。
外用日焼け止め(SPF50+・PA++++)は、皮膚の表面で物理的または化学的に紫外線をブロックします。一方、飲む日焼け止めの作用機序は「体内から酸化ストレスへの耐性を高める」というアプローチであり、皮膚表面に届く紫外線量そのものを減らすわけではありません。
つまり、「飲む日焼け止めを飲んでいるから塗らなくていい」という判断は、UV対策として成立しません。飲む日焼け止めをUV対策に組み込むならば、必ず外用日焼け止めとの併用が前提です。
屋外でのアクティビティや長時間の日光露出がある場合は、外用日焼け止めの定期的な塗り直しを省略しないでください。
デメリット4: 継続使用が必要で、コストが高い
飲む日焼け止めの多くは、1ヶ月あたりの費用が数千円規模になります。外用日焼け止めと比較して、コストパフォーマンスを単純に比べることは難しいですが、「予算の中でどちらに比重を置くか」という選択が生まれます。
加えて、飲む日焼け止めは長期継続を前提とした製品設計になっています。毎日飲み続けることで効果の維持が期待されているため、「夏だけ使う」という短期使用では体内の成分量が定常状態に達する前に終わってしまうことも多いです。
コスト面の現実として:
- 1ヶ月あたりの費用は製品によって幅がありますが、外用日焼け止めより割高になりやすいです
- 「試してみてから続けるかどうか決める」という判断をしたい場合、1〜3ヶ月分の投資が必要になります
- 外用日焼け止めを省略できないため、外用+内服の二重コストになります
紫外線対策全体の予算をどう配分するかを考えた上で、飲む日焼け止めを追加するかどうかを検討することをおすすめします。
デメリット5: 短期使用では効果を感じにくい
フェルラ酸やアスタキサンチンなどの抗酸化成分は、体内に蓄積して初めて作用が安定してくると言われています。そのため、飲み始めて数日で変化を感じる方はほとんどいません。
多くのメーカーが「効果を実感するまでに1〜3ヶ月程度の継続が目安」としています。この前提を知らずに購入すると、「1週間飲んだけど何も変わらない」という感想で使用をやめてしまうことになります。
また、紫外線の影響は蓄積性があるため、「今年の夏に飲み始めた成分が、体内でどれだけ機能しているか」を感覚的に把握することは難しいです。継続の動機付けが難しい点も、飲む日焼け止めの特性の一つです。
妊娠中・授乳中・薬を服用中の方への注意
飲む日焼け止めは経口摂取するサプリメントであるため、特定の状況では服用前に医師・薬剤師への相談が必要です。
妊娠中の方へ
妊娠中は食事・サプリメントを含む摂取物に敏感になる時期です。飲む日焼け止めに配合されているフェルラ酸・ルテイン・ポリポジウム・ロイコトモスなどの成分が、妊娠期の安全性について十分に検証されているかどうか、現時点では明確なデータが揃っていません。妊娠中は、飲む日焼け止めに配合される成分の安全性データが不十分なため、使用を避けるのが確実です。
授乳中の方へ
母乳を通じて乳児に成分が移行する可能性があります。授乳期間中は使用を控えることをおすすめします。
処方薬・OTC薬を服用中の方へ
サプリメントと医薬品の相互作用は、組み合わせによっては問題が生じる場合があります。特に抗凝固薬(ワーファリン等)、免疫抑制剤、光線過敏症に関わる薬を服用中の方は、飲む日焼け止めの成分との相互作用について、担当医または薬剤師にご確認ください。
よくある質問
Q. 飲む日焼け止めを飲めば、外に出ても塗る日焼け止めは必要ありませんか?
A. 必要です。飲む日焼け止めは、塗る日焼け止めの代替にはなりません。外用日焼け止めと併用することが前提の製品です。屋外での紫外線対策は、外用日焼け止め・帽子・衣類等の物理的防御が基本です。
Q. 毎日飲んでいますが、日焼けしてしまいました。製品が偽物ですか?
A. 飲む日焼け止めは紫外線を100%ブロックする製品ではありません。体内から酸化ストレスへの抵抗を高めることを目的としたサプリメントであり、塗る日焼け止めと同じ防御力はありません。日焼けしたこと自体は、製品の問題ではなく、製品の性質による部分が大きいです。
Q. 子どもに飲ませても大丈夫ですか?
A. 多くの飲む日焼け止め製品は成人を対象として設計されています。子どもへの使用については、製品に記載の対象年齢表示を必ず確認してください。
Q. 飲む日焼け止めは、シミを消す効果がありますか?
A. サプリメントに「シミを消す」という効能効果は標榜できません。飲む日焼け止めにはシミを消す作用はなく、紫外線による酸化ダメージをサポートすることを目的とした製品です。すでにあるシミへのアプローチは、医薬部外品のトラネキサム酸・ビタミンC誘導体配合製品の活用が一般的です。
Q. パッチテストは必要ですか?
A. 飲む日焼け止めは経口摂取するサプリメントであるため、皮膚へのパッチテストは必要ありません。ただし、成分にアレルギーがある方や、消化器系に敏感な方は少量から始め、体の反応を確認することをおすすめします。
Q. SPF値の表記がないのはなぜですか?
A. SPFおよびPA値は、外用日焼け止めの遮光効果を測定する公的な指標です。飲む日焼け止めは経口摂取するサプリメントであるため、この規格は適用されません。メーカーが独自に「飲む日焼け止めはSPF○○相当」と表記している場合は、公的な試験基準に基づくものではなく、メーカー独自の評価に基づく数値です。
飲む日焼け止めを選ぶなら
飲む日焼け止めのデメリットと前提を理解した上で、それでも試してみたいという方に向けて、選ぶ際のポイントを以下に示します。
成分の明確さで選ぶ
フェルラ酸、ポリポジウム・ロイコトモス(Polypodium leucotomos)、アスタキサンチン、ルテインなど、配合成分と含有量が明記されている製品を選ぶことが基本です。「独自ブレンド」だけで成分が非開示の製品は、評価が難しいです。
ヘリオケア配合製品について
ヘリオケアはポリポジウム・ロイコトモス抽出成分を配合した製品ブランドで、欧米での使用実績が比較的長い製品です。ただし、日本でのサプリメント規制の枠内での販売であることは他製品と同じです。
外用日焼け止めとの組み合わせを前提にする
飲む日焼け止めを「UV対策のプラスワン」として位置づけ、外用日焼け止めをベースにした上での補助的な使用と考えることが現実的です。
詳しい製品の選び方と比較については、飲む日焼け止めのおすすめ比較もあわせてご覧ください。副作用や気になる点については飲む日焼け止めの副作用と体への影響、効果の仕組みについては飲む日焼け止めの効果の仕組みと限界もあわせてご覧ください。
まとめ
飲む日焼け止めのデメリットを5点に分けて確認しました。
- 医薬品ではなく、化粧品・サプリメントの区分に属する
- 効果の出方は人によって異なる
- 塗る日焼け止めの代替にはならない
- 継続使用が前提で、コストが継続的にかかる
- 効果を実感するまでに時間がかかる
「飲む日焼け止め」という名称のインパクトから、塗る手間を省けると誤解されやすい製品カテゴリーですが、実態はあくまで補助的なサプリメントです。外用日焼け止めをベースにした上で、紫外線ダメージに対するサポートを期待して追加する位置づけが適切です。
妊娠中・授乳中・薬を服用中の方は、事前に医師または薬剤師にご相談の上でご利用ください。