「飲む日焼け止め、体に入れて大丈夫なの?」
これは私がこのカテゴリを調べ始めたとき、最初に感じた疑問でした。食べ物として口にする以上、肌に塗るものとは別次元の慎重さが要ります。
この記事では、ヘリオケア・ソルプロ・アスタリフト・ReFaの4製品の主成分の種類と、特に注意が必要な摂取条件を中心に置いています。どの製品が「安全」か「危険」かを判定するのが目的ではありません。それぞれの成分区分と、読むべき注意事項を正確に理解するための記事です。
前提として、これらの製品はすべて食品・サプリメントに分類されます。医薬品ではありません。SPF/PAのような遮光性能の数値を持たず、あくまで塗る日焼け止めとの補完的な組み合わせが前提です。
飲む日焼け止めの「安全性」を考えるときの枠組み
「安全かどうか」という問いに答えるためには、まず何を安全性の基準にするかを決める必要があります。
日本で販売されている飲む日焼け止めのサプリメントは、食品衛生法の範囲内で製品化されています。医薬品のように厚生労働省が審査する承認制度とは別の枠組みです。食品として流通するにあたって安全性の一定の基準はありますが、それは「すべての人に副作用が出ない」ことを保証するものではありません。
特に次の3つの観点を整理しておく必要があります。
観点1:成分の種類と摂取量 — 植物エキス・天然色素・ビタミン類など、成分の種類によって過剰摂取が起きやすい閾値は異なります。
観点2:摂取する人の状態 — 妊娠中・授乳中・持病の有無・服用中の薬との相性は、同じ成分でもリスクの評価を変えます。
観点3:使い方と期待値の設定 — 「飲む日焼け止めを飲んでいるから、塗る日焼け止めを省いた」という使い方は、製品の想定外の使い方です。期待値の誤解による「実質的な被害」も安全性の一部です。
主成分ごとのリスクと特徴
Fernblock(ポリポジウム・ロイコトモスエキス)— ヘリオケア ウルトラD
Fernblock(PLE)は、熱帯産のシダ植物から抽出された植物エキスです。1990年代から欧米の皮膚科学分野で研究が続いており、ハーバード大学の皮膚科研究を含む複数の報告があります。
一般的に言われていること: PLEは比較的忍容性が高い成分とされており、欧米での使用実績は長く、重篤な副作用の広範な報告は多くありません。ただし、植物アレルギーをお持ちの方はシダ植物由来であることを念頭に置く必要があります。
注意が必要な条件:
- シダ植物または熱帯植物へのアレルギーが既知の方
- 免疫系に影響する薬を服用中の方(PLEは免疫調節に関する研究が一部あります)
- 過剰摂取については、長期大量摂取での十分なデータが現時点では蓄積段階にあります
「ハーバード研究」について正確に知る: 複数の研究でPLEを摂取したグループで最小紅斑量(MED)の上昇が報告されています。MEDとは皮膚に紫外線を照射したとき最初に赤みが出る最小限のエネルギー量のことで、この数値の上昇は紫外線への皮膚の反応閾値が変化した可能性を示しています。ただし「日焼けを完全に防ぐ」こととは異なります。また一部の研究ではメーカーとの利益相反が指摘されており、「完全に独立した科学的証明」とは言い切れない状況です。
マリンポリフェノール+IX — ソルプロ プリュスホワイト
カイゲンファーマ独自の「マリンポリフェノール+IX」は、海藻・シトラス・ローズマリーなど10種の植物・海洋エキスを組み合わせた成分です。植物性カプセルを採用し、製品全体を植物由来素材で構成しています。
一般的なポリフェノールの安全性: 植物由来のポリフェノールは食品から広く摂取される成分ですが、濃縮サプリメントとしての摂取は食事からの摂取とは量が異なります。一般的に抗酸化系の植物エキスは食品としての安全性が高い部類ですが、複合エキスの場合は各成分の相互作用について個別の臨床試験データが限られるケースが多いです。
注意が必要な条件:
- 海藻・柑橘類・ローズマリーのいずれかにアレルギーのある方は成分を事前に確認してください
- 抗血液凝固薬など特定の薬を服用中の方は、ポリフェノール系成分との相互作用について薬剤師にご確認ください
植物性カプセルという選択肢: 動物性ゼラチン不使用のカプセルは、ヴィーガン・ベジタリアンの方や宗教的な食事制限がある方への配慮という観点から意義があります。アレルゲンの観点でも選択肢の一つとなります。
ナノ乳化アスタキサンチン — アスタリフト ホワイトシールド
富士フイルムの「ナノ乳化アスタキサンチン」は、アスタキサンチンを細かい粒子に乳化して体内吸収をサポートする技術を採用した製品です。消費者庁への届出(届出番号G666)による機能性表示食品の区分で、「紫外線刺激から肌を守るのを助ける」機能が届け出られています。
アスタキサンチンの特性: アスタキサンチンはえびやサーモンの赤色に含まれるカロテノイド系の天然色素です。日本国内でも多くの研究データが蓄積されており、食品としての安全性は比較的認知されています。脂溶性のため、食事中または食後の摂取で体内への吸収が高まりやすいとされています。
注意が必要な条件:
- えび・かにアレルギーが既知の方は成分の由来を確認してください(アスタキサンチンの精製度によりますが、念のため確認が必要です)
- 血圧に関連する薬を服用中の方は、アスタキサンチンとの相互作用についての研究が一部あるため、服用前に処方医への確認を優先してください
機能性表示食品という枠組みの意味: 機能性表示食品は企業が消費者庁に科学的根拠を届け出た区分ですが、医薬品の承認審査とは異なります。届け出られた機能については根拠があるとされていますが、「届出=すべての人に同じ効果がある」ではありません。個人差があります。
アスタキサンチン+GABA — ReFa UV チューン
MTGの「ReFa UV チューン」はアスタキサンチンとGABAを組み合わせた機能性表示食品です。国内製造で、1日2粒(60粒入り・30日分)の摂取が目安です。
GABAについての理解: GABA(γ-アミノ酪酸)は神経伝達に関与するアミノ酸として知られ、食品中にも存在する成分です。機能性表示食品での肌弾力に関する届出が近年増えています。一般的な食品摂取量としての安全性は認められていますが、特定の神経系薬との相互作用については研究が続いています。
注意が必要な条件:
- 向精神薬・抗てんかん薬・抗不安薬などを服用中の方は、GABAを含む製品の摂取について服用前に処方医への確認を優先してください
- アスタキサンチン由来成分へのアレルギーが懸念される方は、ヘリオケアやソルプロとの比較で成分確認を優先してください
過剰摂取のリスクを考える
「1日1粒なら安全」というのは多くのサプリメントでの仮定ですが、過剰摂取のリスクの有無は成分ごとに異なります。
脂溶性成分に注意が必要な理由
アスタキサンチンは脂溶性の成分です。水溶性のビタミンC等と異なり、脂溶性の成分は過剰に摂取した場合に体内に蓄積されやすい性質があります。ただし、アスタキサンチンの現実的な1日摂取量での過剰摂取リスクは、現在の研究では低いとされています。
ヘリオケア ウルトラDに含まれるビタミンD3も脂溶性ビタミンです。ビタミンDは過剰摂取による高カルシウム血症のリスクが知られており、上限摂取量が設定されています。ウルトラDに含まれるビタミンD3の量は1日あたりの目安量の範囲内の設計ですが、ビタミンDの別サプリを同時に摂取している場合は合計量の確認が必要です。
複数の飲む日焼け止めを同時に使う場合
アスタキサンチンを含む製品(アスタリフト ホワイトシールドとReFa UV チューンなど)を2種類同時に使うと、同じ成分の摂取量が増えます。「2種類飲めば2倍の効果」という期待値の設定は科学的には支持されておらず、むしろ同一成分の不必要な重複摂取になるリスクがあります。
複数のサプリメントを組み合わせる場合は、成分の重複がないかを確認することをお勧めします。
特に注意が必要な人
以下に該当する場合は、飲む日焼け止めを始める前に医師・薬剤師にご相談ください。
妊娠中・授乳中の方 食品・サプリメントであっても、妊娠中は成分の選択に慎重な対応が必要です。Fernblock(PLE)、アスタキサンチン、GABAのいずれも、妊娠中の大規模な安全性試験データが十分ではない部分があります。特定の成分の摂取が問題ないかどうかは、かかりつけの産婦人科医に確認してください。
何らかの薬を継続して服用中の方 薬とサプリメントの相互作用は予測が難しい場合があります。抗凝固薬・免疫系の薬・向精神薬・血圧の薬などを継続服用中の方は、新しいサプリメントを始める前に処方医または薬剤師への確認を優先してください。
食物アレルギーをお持ちの方 えび・かに・シダ植物・海藻・柑橘類のいずれかにアレルギーがある方は、各製品の成分表を詳細に確認してください。アレルギー反応は食品として販売されているサプリメントでも起こりえます。
お子さまへの使用 各製品のパッケージを確認し、子どもへの使用に関する記載がない場合は使用しないでください。成人向けの摂取量設計が前提のサプリメントに子どもへの使用を前提とした安全性データはありません。
「飲む日焼け止め」という名称への誤解
「飲む日焼け止め」という呼称は、厳密には正確ではありません。これらの製品には「日焼け止め」として認可された成分は含まれておらず、SPFやPAの表示もありません。正確には「インナーUVケアサプリメント」と表現する方が製品の実態に近いです。
この誤解が特に問題になるのは、「飲んでいれば塗る日焼け止めは不要」という期待を生む点です。海水浴や屋外の長時間活動など、紫外線量の多い環境では、塗るタイプのUV製品(SPF/PA表記あり)が皮膚への直接的な遮光に機能します。飲む日焼け止めサプリメントはこの役割を担う仕組みを持ちません。
4製品を使うなら、必ず塗る日焼け止めとの組み合わせで使うことが前提です。
安全に使うための4つのポイント
用量を守る — 製品ごとの1日の摂取目安量を超えないこと。「もっと飲めばもっと効く」という発想は脂溶性成分では注意が必要です
成分の重複を確認する — 他のサプリメントとの成分重複がないか確認する。特にビタミンD・アスタキサンチンの重複摂取は総量を意識してください
体調の変化に注意する — 飲み始めて体調の変化(胃のもたれ・かゆみ・発疹など)があった場合は、いったん中止してかかりつけ医に相談する
塗る日焼け止めを省かない — 飲む日焼け止めを使っていても、外出時の塗るタイプのUVケアは継続すること
よくある質問
Q. 飲む日焼け止めは「医薬品」ですか?
いいえ。この記事で取り上げた4製品(ヘリオケア・ソルプロ・アスタリフト・ReFa UV チューン)はいずれも食品・サプリメントとして販売されており、医薬品ではありません。アスタリフトとReFaは機能性表示食品ですが、これも食品の区分です。医薬品のような厚生労働省による承認審査を経た製品ではありません。
Q. 副作用はありますか?
食品として販売されている製品ですが、体に取り入れる以上、合う・合わないの個人差があります。植物エキス・天然色素・ビタミン類は一般的に耐用性が高い成分とされていますが、アレルギー体質の方や特定の薬を服用中の方では注意が必要な場合があります。不安な場合は購入前に薬剤師にご相談ください。
Q. 長期間飲み続けても問題ありませんか?
各製品の主成分について、長期摂取での重篤な有害報告は現在のところ多くはありません。ただし、長期の臨床データが十分に蓄積されていない成分もあります。定期的に健康診断を受けている方や、身体の変化が気になる場合は、飲み続けながらかかりつけ医に相談することをお勧めします。
Q. 妊娠中は飲まない方がいいですか?
妊娠中の方は、これらの製品に限らず新たなサプリメントを始める前に産婦人科医への相談を優先してください。各成分の妊娠中の安全性に関するデータは限られており、「安全である」とも「危険である」とも断言できる状況にはありません。慎重な判断が必要です。
Q. 子どもに飲ませても大丈夫ですか?
各製品は成人の摂取を前提に設計されています。子どもへの使用については、かかりつけの小児科医への確認を優先してください。



